梨人(なしんちゅ)のキセキ 梨で明和町をもっと元気に!

群馬県・明和町で、若手の梨農家や後継者などが集まり、2013年に立ち上がった団体「梨人」(なしんちゅ)。梨づくりのプロフェッショナルになることはもちろん、梨で町をもっと盛り上げようと、日々奮闘中。その足跡をメンバー4人が週替わりでつづっていきます。

2014年11月

 酷暑で早まった収獲開始も期待ほどではなく、盆最終日までに採れた幸水は全体の1割程でした。ジベ処理による熟期促進を、邪道とばかり言い続けるのも考え物です。

おおた・まちの先生見本市に参加

こんばんは。
本日も、このブログにお越しいただきありがとうございます。

今日は、昨日のブログでも書いた通り、「おおた・まちの先生見本市」というイベントに参加してきました。
会場は、太田市にある尾島小学校です。メイン会場である体育館は団体ごとにブースに分かれ、特別教室や校庭なども開放されました。
午前中は晴れていましたが、昼頃から徐々に雲が出てきたため、外に出るには上着が必要になりました。

さて、今年で第5回目になるこのイベントですが、今年は今までで最大の69の団体や個人が参加しました。「梨人」もその1つです。
どんなイベントかというと、主な対象は子供たちで、色々な分野の町の皆さんに「まちの先生」としてその道の知識や経験を活かしてもらい、一緒に遊びながら学ぶ、楽しい見本市になります。
例えば、「梨人」の隣では有名なコーヒー会社である「AGF」さんがブースを出していて、空のペットボトルで「デコレンジャー」というものを作ったり、大人の方はコーヒークイズにチャレンジしたりしていました。

それでは、「梨人」はどうか。
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「梨人」は、小学生以下限定で梨に関する数字当てクイズを行い、正解した子供には梨のドライフルーツをプレゼントし、全部の問題が終了した後は参加した子供全員に搾りたて100パーセント梨ジュースを飲んでもらいました。
クイズは、梨の木を植えてから何年で実が生り始めるのかとか、1本の木に何個の実が生るのかとか、そういった問題を出しました。そして、1本の木から傷や虫食いなどで必ず出てしまう売れない梨について、今日プレゼントしたドライフルーツやジュースなどひと手間加えるだけでこんなに美味しいものができるということを知ってもらうため、今回のイベントに参加しました。
写真を見てもらうと分かる通り、メンバーで役割を分担し、この時は奈良さんが絵を見ながら説明をし、東さんがスケッチブックを持って説明補助をし、直記さんと自分で場の管理を、新井君が奈良さんの後ろで梨を切って梨ジュースの準備をしていました。予定では、小学生20人に対して、5回に分けてやるつもりでした。
ただ、予想よりもスペースが狭かったので、半分の10人に対して全部で11回やりました。やはり、なかなか予定通りにはいきません。
そもそも、口下手な人が5人中3人もいる「梨人」。もちろん、自分もその1人ですが、小学生たちにちゃんと言葉を届けられたのか気になります。
梨ジュースは大好評で、クイズに参加していない人から欲しいと言われた時に渡せないのが心苦しいほどでした。梨ジュースのおかげで、今日の「梨人」のブースは盛況でした。

ところで、「梨人」メンバーは5人なのに全部で11回やったのでは計算が合わないことに気づいた方もいるかもしれません。では、2巡した後で誰が最後の1回をやったのか。
…はい、自分がやりました。まさか、「最初はグー」の合言葉でパーを出してくる人がいるとは予想できませんでした。誰とは申しません。
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これが、イベント終了20分前の「梨人」ブースの様子です。これまた予想以上に梨が残ってしまいました。ちなみに、品種は「新興」といって、甘酸っぱくて美味しい梨です。
これをどうするかということになった時、イベント主催側の人から販売の許可が出て、急遽1個100円という価格で売ることになりました。
すると、あれよあれよという間に買いに来てくれる人が出てきて完売しました。わずか2、3分の出来事で、これには驚きました。
今日は、色々と良い経験になりました。

今週も1週間、このブログにお付き合いいただきありがとうございました。
いよいよ、明日から12月になります。年の瀬、色々と思い返すことも多いと思います。
今年が人生の大転換期だった自分にとって、思い入れの強い年になりました。

林寛丈

梨棚造り⑥

こんばんは。
今日も午前中のうちに雨が降ってしまい、あまり作業が進みませんでした。
ただ、このところの作業で軟弱なことに右手の握力が乏しいことになっていたので、今日は少し骨休めになって助かったところもあります。

昨日までのブログで、周囲のワイヤーを張るところまで書きました。そこまでいくと、後は周囲柱を立てていくだけです。
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このような具合です。こちらは北側ですが、これと連動して対応する南側の周囲柱も一緒に立てます。

そして、お互いをビニルで被覆した鋼線で繋ぎます。この時、昨日も登場した張線器にもまた頑張ってもらいます。
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これで、1組出来上がりです。この線上に、一定間隔で梨の木を植えていきます。
ちなみに、自分は神奈川県の新しい技術である「ジョイント仕立て」での梨の栽培を考えていて、南北に主枝を接いでいく予定でいます。なので、上の写真の方向からだと枝が一直線に繋がって見えるようになると思います。
あくまで、ちゃんと接ぐことができれば、という条件が付きますが。

さて、後はこの周囲柱を東西南北でセットしていくだけなのですが、ここまでを見てきて何か物足りないと感じた方もいるかもしれません。
そうです、ここまでは「梨棚」造りなのです。そして、梨園にはもう1つ棚があります。それが、「網棚」です。
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この写真は、明和町の「ジョイントモデル園」です。とても整った造りをしています。
上の方に、升目状に線が張ってあるのが見えると思います。今はまだかかっていませんが、実が生るようになったらここにも上に網がかかることになります。
網には「防災網」や「防鳥網」といったものがあり、どちらもそれぞれ梨の実を守るのに役立ってくれます。場所によってや園主の考えでかけない場合もありますが、近年気象環境が変わってきて何が起きても不思議ではありません。
対策をしておくに越したことはありません。

順調にいけば梨棚造りももっと進んでいるはずなのですが、隅柱の設置不備や土の状態もありあまり進んでいません。上の「ジョイントモデル園」のように、外観からして綺麗な梨園を造りたいです。
おそらく、梨棚造りの記事は今日までです。今回、写真を多用していて文章は少なめだったかな…と思います。
明日は、太田市の尾島小学校で「第5回おおた・まちの先生見本市」というイベントに「梨人」が参加するので、そちらの記事を掲載する予定になります。
子供たちの前で話をすることになるのですが、果たしてうまくやれるかどうか…

林寛丈

梨棚造り⑤

こんばんは。
今日はあまりスッキリしない天気でしたね。しかも、明日と来週の月曜日はまた雨が降る予報になっています。
ここにきて雨が増えてきたようで、ピンポイントで悪影響が出ていて困ります。

昨日はアンカーの話をしましたが、今日はまた元の作業に戻ります。佐藤等さんに隅柱の建て方を教わり、昨日までに終わらせておきました。
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大体、どこもこのような感じでセットしました。見た目は何となく良さそうです。
ただ、これでちゃんと建てられたのかどうかは、この後の作業で分かってしまいます。

次は、隅柱の先端のキャップに通して周囲に引っ張ったワイヤーをしっかり張ります。まずは、片方の四角形の畑からです。
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真ん中に引っかかっている道具は、張線器といいます。本体の両側からワイヤーが伸び、先端は線を挟むことができます。そして、本体のハンドルを回すことでワイヤーが巻き取られ、両側の線やワイヤーを巻きつけた物を締めていきます。
写真のでは、隅柱と片方のワイヤーにこの張線器をつけます。ここでは、四隅の隅柱と周囲に張ったワイヤーの両端に2つの計6つを同時に使いました。
やり方としては、四隅の張線器を締めてワイヤーの両端方向に弛みを送っていくような感じにします。ただ、隅柱がしっかりしていないと締めているうちにずれてしまいます。
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こんな感じですね。隅柱が右方向に引っ張られている様子がよく分かると思います。一昨日も書いたように、この方式では棚の四隅の柱がとても重要になるので、これでは下がグラグラしてしっかり利いてくれません。

そこで、上の写真に写っている掛矢というハンマー状の道具や張線器を使い、ちゃんとした位置に直します。
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こうすることで、本来の力を発揮してくれます。

そして、この作業で特に重要になるのがこの部分です。
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両側から引っ張ってきたワイヤーが、ここで合わさります。張線器を2台使い、とにかく締めます。

そして、最後に直線グリップというクルクルと巻いた金属製の道具で繋ぎ合せれば完成です。
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上の写真だと、左上の方に少しワイヤーの盛り上がった部分が見えると思います。ここから始まり、この道具の真ん中にワイヤーの両端を合わせます。
これにより、ワイヤーは完全に固定されて動かなくなります。このワイヤーが固定されたことで、少し棚っぽくなってきました。
こうして、周囲に引っ張ったワイヤーの内側に向かう力と、隅柱を含む周囲の柱からアンカーに降ろしたワイヤーが柱を固定することにより、棚の強度を保っています。
梨の栽培をする上で棚は欠かせないので、早く完成させたいです。

林寛丈

梨棚造り④

こんばんは。
本日も、このブログにお越しいただき、ありがとうございます。

今日はようやく太陽が姿を見せ、風も穏やかで仕事日和でした。ただ、懸念していた通り、昨日までの雨で大分地面が緩くなり、移動が大変でした。
おまけに、柱を立てる受け石に力を加えると沈みやすく、折角セットした柱がずれるということも起きてしまいました。
何にせよ、早く土が乾いてほしいです。

昨日のブログで書いた通り、今日は梨棚を造り始める前に埋めてもらったアンカーというものについて、書かせてもらおうと思います。
まず、アンカーとはこうした形の物です。
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こちらのアンカーは、果樹棚やビニルハウスなどで使われる「ミニテーアンカー」というものです。普段は土中に埋まっている物なので、全体を見ることはほとんどないと思います。
アンカーは、上の写真の右側を地面に打ち込んでいきます。軸が2本あり、左側の輪っかの位置がずれているのには意味があります。

まずは、実際打ち込んでいるところの写真を見てもらった方が分かりやすいと思います。
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こちらのお二人が、今回アンカーを打ち込んでくれる業者の方です。埼玉県の方で、ご夫婦でこの仕事をされているそうです。アンカー打ちの方はもうあまりいないようなので、貴重な存在です。
写真を見てもらうと分かる通り、先ほどのアンカーの2本の軸の間に打ち込み棒を挟みます。これは、旦那さんが操作する小型ユンボの先に専用の道具を取り付けて行われています。

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このような感じです。後はユンボの先でカンカン打ち込んでいきます。打っていくうちにユンボの位置がずれるので、真っ直ぐ打てるようにユンボの微調整をしながらの作業です。

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2つある輪っかの片方が地面の高さになったら、そこでユンボの先端についている道具のとある装備を外します。そうすると、今度は上に出ていた輪っかの軸だけが打ち込まれていき、地中で1番上の写真の右側の部分が開き、抜けないようになります。

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こんな感じですね。これが梨園の周囲にあることにより、柱のキャップ+に通したワイヤーなどを引っかけて引っ張り合うことで棚が固定されていきます。
この長さのアンカーだと、土の状態が普通なら2トンまでの重さに耐えられるとのことです。ちゃんと打ち込まれていれば、よっぽどの自然災害でない限り抜けることはありません。
とても良い働きをしてくれます。

ここまで、機械によるアンカーの打ち込みの様子を書かせてもらいました。が、これは最も楽な方法です。
他には、それこそ自分たちで掘って埋めるという方法があります。ただ、想像するだけでもかなりきつい作業だということが分かると思います。
師匠である関本さんに聞くと、明和の梨農家の方々はアンカーを手伝い合って掘って埋めたらしく、その苦労に頭が下がります。
とにかく、これが梨棚造りの第一歩でした。

林寛丈

梨棚造り③

こんばんは。
昨日に引き続き、雨が降ってしまいました。なので、今日も研修はお休みです。
ただ、雨休みなのでまた明日からの棚造りの地面の状態がよくなさそうで、憂鬱です。

今日は、隅柱についてです。
現在の梨棚は、「もちあみ式」という方式が主流になっています。これは、四隅の柱をしっかりと設置し、梨園内の番線を升目状に張っていきます。比較的造りやすいので、自分のような素人でもプロの方がいれば手が出せます。
ただ、この方式だと四隅のどれか1本でも揺らいでしまうと全体が緩んでしまうため、四隅は特にしっかり設置する必要があります。

そして、次の作業はこちらになります。
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今、手前に斜めに入っているのが隅柱です。ただ、これはまだ正式に設置したわけではなく、佐藤さんがやっている部分を作るために地面に固定しただけです。

何を作っているかというと、これです。
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これは、隅柱に被せる爪付キャップといいます。ワイヤーを回し、キャップに固定して手前に垂らしています。

そして、これをしっかり設置した隅柱の先端に被せ、地面に打ち込んであるアンカーにワイヤーを通し、隅柱を固定します。
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こうすることにより、隅柱が内側に向かおうとする力に対抗できます。ちなみに、アンカーについては明日のブログで書こうと思います。
ここは写真ばかりになってしまいましたが、概ねこんな感じです。

…ただ、この流れで問題が1つあります。それは、ワイヤーの強度です。
ここで使っているワイヤーは、昨日説明した周囲に引っ張った物と同じです。もう少し細いワイヤーもあるのですが、やはり隅は重要ということですね。
だからこそ、真っ直ぐに伸びたワイヤーを捻るのには相当な力が必要です。ちなみに、動力は自分の筋肉です。
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この爪付キャップに巻きつけないといけないので、この状態ではまだ不完全です。が、この時点で既にパワーが大量に消費されています。
1番上の写真のように、小さい円を作るようにするには更に細かく曲げていく必要があります。実際、それくらいにしないとキャップにワイヤーを固定できません。
とにかく、地味に大変です。ちなみに、自分が1つをどうにかこうにか曲げている間に、佐藤さんは3つくらいこれを作っていました。
先行きが不安ですが、苦労することが多い分、楽しそうでもあります。

林寛丈
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