
TKB47(矢沢)です。先日14日に、「スパイカルプラス」を設置しました。棚線に括り付けた白い袋(上の写真)がそれで、中身はミヤコカブリダニという天敵ダニです。この天敵ダニにハダニ類を退治させることを目的とした「農薬」になります。
明和ではハダニ類による被害が毎年甚大で、これが原因で栽培を辞めてしまうケースが多いようです。何とかしたいという思いで、農協が2か所(私とふなっきーの園)へ無償で試験導入しました。他に関心を持った生産者もおり、農協の説明会には来ていたのですが、今回の導入は見送りました。私の園では、昨年までハダニ類の被害があまりなかったそうなので、今年ダニの被害を抑えたとしても、スパイカルプラスの効果があったのかどうか判然としません。それでも、マイナスになることはないので、やってみることにしました。
天敵ダニの効果に関しては、施設野菜では大変顕著です。ほぼ閉鎖空間のため、天敵が外に散っていかないことも大きな要因です。私も普及員の時にイチゴで試験導入を行い、効果を実感しました。その時に撮った写真を載せます。上側写真の中央にいる丸型の2匹がミヤコカブリダニで、食いつかれているのと下を歩いているのがハダニ(おそらくナミハダニ)です。食いつかれいる1匹は体液をあらかた吸われ、萎んでいるのが分かります。下側の写真では、カブリダニの1匹が横向きになっていますが、クワガタのアゴのような突起がハダニをとらえています。
ナシのような露地の解放空間では、四方に散逸してしまうので天敵の効果は期待できないと思っていました。しかし、最近ではそうではないという実例もあるようです。さらに驚いたことに、14日の導入時にハダニ類がいるかどうか調べていたところ、土着の天敵ダニを多数見つけたのです。これが生息できている環境であれば、後から入れた天敵ダニも定着できるかもしれません。


天敵ダニはナシには全く無害ですが、導入に際しては重大な問題点があります。天敵ダニを殺さないために、使用できる農薬が制限されることです。特に、アブラムシ類、カイガラムシ類対策殺虫剤への制約は大きく、9月までの防除暦を全面的に変更せざるを得ませんでした。カイガラムシの件は改めて書きます。